konpe's 夜の仕事記

民間セクター開発、BoP、Clean Tech

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開発業界雑感

前回の記事に、以下のようなコメントをいただきました。コメントで返答したら長くなりすぎてシステムにはねらてしまったので、 記事にして再掲します。

いつも拝見し勉強させていただいております。 konpeさんのblogで世界が広がったように思います。
私は、PPPプロジェクトに従事するためにUNDP GSBで働きたいと強く思っている者です。

突然で恐縮ですが、1つ教えていただけますでしょうか?

1.GSBで求められる実務経験・スキル・学歴について知りたいです。
GSBではどういった能力・学歴が求められているとお感じになりますか?また、どういう能力を持ち、どういったCareer Pathを歩んだ方が多かったですか?

?実務経験について:
私は、konpeさんのようにコンサルバックグランドではなく、実務経験はメーカー(6年)しかないので、 MBAをとったところでどのくらいGSBへの就職が厳しいのか図りかねています。

?学歴について:
私は日本の経済学部卒(ゼミは開発経済学)で、開発・国際関係の修士を持っていません。 国連職員は国際関係や専門分野のmasterを持つ人が多いようなので、そちらを取るか、GSBのコンサル的業務のベース(案件検討・分析・ 実践・評価)となるMBAを取るか、迷っています。

2.GSBについて
?Kennedy School Reviewの記事拝読しました。"(旧)$100 Laptop"プロジェクトは終結したのですか?
もしIFCの他にGSBプロジェクトをまだやっていらっしゃるようでしたら、お話いただけると幸いです。

?IFCとUNDP GSBのミッションの違いが良くわかりません。
IFCは案件への投資と進捗管理でownershipは持たない(?)(IFC 対 非支援政府の2者間)、 GSBは案件のOwnerであり立案・計画・実践・評価を行う(GSB 対 非支援政府 対 私企業の3者間)が違いと思っていますが、 正しいでしょうか?

■GSBのスキルや学歴について

GSBチームの主要メンバーの略歴がここにあります:
ご覧いただいてお分かりのとおり、学位でいうとMBAや法律、経済、国際開発学から分子生物学までバラバラで、 特段これが必要というものはなさそうですが、共通しているのはコンサルティングの経験でしょうか。 GSBでやっているのは新事業立ち上げのプロデューサーのような仕事ですので、それに近い経験が歓迎されるのだと思います。

GSBに就職するには、というのはとても難しい質問です。UNDPや他の国際機関一般について、 おそらくご存知かとは思いますが採用方法はいろいろ込み入っており、業務内容、経験レベル、巡り合わせ、等に応じてケースバイケースです。 ピンポイントの空席募集を通じた経験者採用、出身国政府がスポンサーする若手採用、プロジェクト単位や期間限定の短期もの等があり、 これらを複数の機関で組み合わせてキャリアを築いていく人も多いです。さらにGSBに限っていえば、 まだ社内ベンチャーのような小さな部隊で、採用方針もまったく確立していません。 たとえば去年はインターンを30人雇って一気呵成に世界展開しましたが、今年はインターンの募集はしませんでした。去年のインターン後、 学校を卒業してGSBの仕事に就いた人はいますが、UNDPの正規職員として採用された訳ではありません。 これから大学院を検討されているということでしたら、卒業される頃にどうなっているかは更に予測がつきません。

仰っていただいているPPPプロジェクトというと、一般には交通とか水とか電力といったインフラ方面を指すことが多いですが、 それがご興味の対象であれば、経済とか都市開発等と組み合わせて分野毎の専門知識がつくような大学院を選ばれるのがよいでしょう。 GSBのアプローチはそれとは違っていて、消費者を直接顧客とする製造業や農業、通信、金融、等々いろいろな業種を対象とし、 背後にある考え方はBottom of the Pyramidとよばれます。

これは世界に40億人いるとされる1日4ドル以下で暮らす貧困層を、援助の対象でなく今後急成長する有望市場と捉えなおし、 民間企業が破壊的イノベーションによる劇的なコスト削減や革新的なビジネスモデル創造を通じて貧困層を顧客とした新たな収益事業を起こす、 という考え方です。いわゆる戦略、マーケティング、オペレーション、ファイナンスの組み合わせ・応用にほかならないので、 それらの基礎知識をつけるならMBAということになるでしょう。もっと広くいえばビジネスの社会的ミッションを扱う分野 (Corporate Social Responsibility、Socially Responsible Investment、 Social Entrepreneurship)もアメリカの著名なビジネススクールでどこでもそれなりに流行っている印象です。

上記のようなビジネス方面での流行り言葉は、開発関係者・国際機関から見るとPrivate Sector Development、 あるいはPrivate Sector Engagementと呼ばれます。そういった分野にご興味がおありでしたら、 留学などされながらGSBだけでなく、似た仕事をやっている他の組織も視野に入れて動向をフォローされることをお勧めします。世銀やIFC、 地域開銀(ADB, AfDB, IDB, EBRD)に加えて、 GSBの考え方に近い仕事をしている組織には例えば以下のようなところがあります:
http://www.dalberg.com/
http://www.technoserve.org/
http://www.acumenfund.org/
http://www.ashoka.org/

■$100 Laptop Projectのその後

プロジェクトはまだ続いています。基礎教育のありかた全般に関わるので政府とUNDPで大掛かりな検討体制をつくっていて、 専門外の私が遠隔で支援できることも限られてきていますが、 検討結果が公開情報で出てくる頃にまとめてここでも取り上げられればと思っています。ちなみに、無念なことに私は都合がつかないのですが、 現地でフルタイムでPPPのコーディネーションができる人を募集しており、なかなかスペックに合う人材が見つかっていません。 これをお読みの方がもしご関心がありましたら個別にご連絡を下さい。

■IFCとUNDP GSBの違い

上記のいくつかの組織の違いにもそのまま当てはまりますが、IFCとGSBの違いは投資家とアドバイザーの違いです。

ちょっと細かく言うと、IFCは民間企業に直接投融資をしますのでIFC 対 被支援政府というよりIFC対企業の2者間、 ローンの貸出でなくエクイティの出資をする場合はOwnershipは持ちますが、 Majorityを持ってコントロールを握ることはしません。途上国専門のプライベート・エクイティなど投資ファンド、商業銀行、 商社のようなプロジェクトファイナンス機能を兼ねたような機関といえるかと思います。通常の投資家にとってはリスクが高すぎる・ 期待リターンが十分でない投資案件でも、貧困削減効果が見込まれれば先鞭をつけて投資して民間資本を呼び込み、 雇用創出や経済発展を促すミッションを持っています。また、世銀の一部でもあるので世銀の政府向け貸出条件等と連携し、 とくにインフラ投資にありがちな政治リスクを最小化して他の投資家にとってのリスクプロファイルを改善するという役割も期待されています。 いっぽう、民間資本と競合して民業圧迫になってはしょうがないので、投資が十分流入しているセクター・地域(中国沿岸部、インドなど) からはすすんで手を引くということに一応なっています。

一方GSBは、すくなくとも現時点では自前の投資資金などは持たず、国連のLegitimacyや中立性、 グローバルな知見の蓄積をテコに政府、国際大手企業、現地中小企業、NGOといったステークホルダー間の対話を仲介し、 オーナーというよりは事業創造の触媒になることを目指しています。現地に根ざしたLinkeage CreationやCapacity Buildingを重視した小規模案件が多いですが、国ごとの貧困状況や開発ニーズに応じてアプローチはさまざまで、 場合によってはIFCのような機関が投資家として参加することもあるでしょう。また、 技術やリソースが集中している国際大手企業の力を活かすことも必要なので、 UNDPの本部や地域局単位で大手企業との協力をすすめようとしています。日本企業との連携にも力を入れているようです。

GSBはまだまだ新しい組織で、成功パターンを模索中といってよいと思います。 GSBが進めようとしている大手国際企業の途上国投資促進はもともとIFCの得意分野で、重複も出てくるでしょう。一方IFCも、 途上国への民間資本流入が空前の伸びを示す中、ここ数年間過去最高業績を更新し続けていますが、 開発機関としての本来のミッションに立ち返って更なる開発効果の提供を求められており、投融業務に加えて政府向け、 企業向けのアドバイザリー部門を充実させようとしています。公の開発機関以外でも上でいくつか列挙した組織のように、 民間あるいは非営利で先進的なアプローチを取り入れ、高い評価を得ている組織もあります。他の多くの業界と同様に開発業界でも、 ビジネスモデルがめまぐるしく発展して競合(あるいは協業)領域は増える一方という感があります。

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