konpe's 夜の仕事記

民間セクター開発、BoP、Clean Tech

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

06前半振り返り-授業1

今日は、授業で心に残ったポイントをいくつか。

って、一応学生なのに、勉強のこと書くのが半年ぶりですね。力の入れようが分かろうというもの・・・。

今期は、(仕事でさんざんやったStrategy、Marketingは見送って)Finance、 Operationといった定番は一応おさえ、加えてInnovation Management系とInternational Business系の科目を中心に選択。どれもそれなりに学びがあったのだが、 とくにInnovation系は元々の問題意識を深耕するうえで特に有益だった。

まずはManaging Innovation and Entrepreneurshipという授業。 これはスローンが売りにしているテクノロジー、イノベーション、アントレ系授業の入門編。ざっくりいうと、戦略・マーケティング・ 組織をひっくるめて、新技術をうまく事業に結びつけるには何が必要か、みたいな課題を扱う。Innovation = Invention + Commercialization、というお題目で、第一項と第二項の間の深い谷をどう超えるか、という問いにミクロからマクロから、 古典的理論を持ち出したり最新事例を議論したりと薄く広くカバー。

印象深かったのは、コース半ばでトヨタのプリウス開発のケースを議論した日。業界の様子の描写からケースが始まる。 自動車業界では品質・コストに加えて、市場の変化に対応する開発期間の短縮が至上命題。時は1995年、 アメリカの自動車メーカーではまだ5~6年だった平均開発期間が日本車メーカーでは48ヶ月だった時代。 トヨタは更に期間短縮して18ヶ月の開発サイクルに移行すると発表し、アメリカ勢は恐怖をおぼえたという。

そんなご時世に、トヨタが社長肝煎りでハイブリッド車の開発を開始する。未知の技術がてんこ盛りで、 長めの開発期間を置いていたプリウスプロジェクトも残り2年強になった頃、 新しく社長になった奥田さんが開発チームにとんでもない指示を下す・・・「これは会社の運命を左右するプロジェクトだ。1年前倒しでやれ」

必要とあればやってしまうのがトヨタという会社。休日はすべて返上、家族から離れて社員寮に引っ越し、等々、 プロジェクトメンバーの壮絶な働きぶりがケースに描かれる。けっきょく、 前倒しのスケジュールを更に2ヶ月縮めて達成してしまったという話だった。

教授が皆に質問。「このプロジェクトで働きたいと思う人は?」 40人程のクラスの中で、手を上げたのは、 自分とトヨタ出身クラスメートのY氏、あとはせいぜい2人だった。(ちなみに、彼らは元燃料電池エンジニアとか、 特にハイブリッド技術に関心が高い人)

日本人以外、というより主にアメリカ人やヨーロッパ系(+ラテン系)は概して仕事に対してドライ。 本当に大切な仕事をしてると思うなら、世界を変えようと思うなら、ライフスタイル云々言うな! ・・・なんてまったく通じない。もちろん、 日本でも最近はそうも言ってられない事情もあるし、家族持ちになればまた事情が違うし、 違った価値観も考慮しないとチームを動かせないのも重々承知。でもなあ。皆が無茶しながらも組織の目標にコミット、 阿吽の呼吸で驚異的パフォーマンスを発揮、って、日本人にしかやれない大事な芸当だと思うんだけどなあ。

先週、一緒に飲んだ昔の仲間が「組合が強くて9時以降まで仕事ができないのが口惜しい」と言っていた。彼はホンダでMotoGP (世界最高峰の二輪ロードレース)向けマシンの車体設計をやっている、ぴかぴかのエンジニア。機密上、家に持ち帰れない仕事も多いので、 職場と自宅の時間をどう使い分けるか相当工夫を凝らしている模様。こういう人が、レースでも量産向けでも日本車を支えてくれている。

エンジニアでもコンサルタントでも同じだと思う。ライフスタイルありきで仕事を削るのはプロじゃない。労働時間が長いのは、 クオリティを維持しつつもチームのライフスタイルを守る技能をまだ身に付けていない自分の責任。「死んでる」チームほど、トヨタ流にいえば 「ムダを省く」余地がたくさんある。クライアントにとってさして重要でない課題を解く、不要なデータを集め必要以上の精度で分析をする、 ライトパーソン以外とのコミュニケーションに過度に時間を割く、 クライアント社内でできるようにならないと意味がない仕事をいつまでも自分でやる、、、云々。 阿吽の呼吸で動く日本のクライアントのお手伝いをする以上、「それはスコープ外です」なんてパシパシ切れないのは当たり前。 目の前の状況をマネージできるのは自分だけ。ライフスタイルが悪いのはマネージャーやパートナーのせいでも、 ましてやクライアントのせいでも決してない。

仕事を設計する技能、達成すべきクオリティスタンダード、拠って立つ目線の高さは、 一度は死ぬ思いをして生き延びて仕事を成功させた後でないと身に付かない。だから今は死ね、と言われて育てられた。それでいて、 どんな事態になっても最後はこの人がケツ持ってくれる、という絶大な信頼感を寄せられる先輩たちだった。 自分を育てようとしてくれているのが分かるから必死で付いていこうとした。・・・アップワード・ フィードバックやライフスタイル意識が浸透した今、自分の世代でそうやって厳しく若手を指導できる人がどれくらいいるだろう(自戒も込めて) 。

別段コンサルタントに限らず、日本で先輩が後輩を育てるというのは多かれ少なかれ、似た形で行われてきたのだと思っている。とはいえ、 こういう価値観を持ち続けて、周りにもそれを求めて仕事をし続けることが難しい社会に日本もなってしまった、 というのも正しいのかもしれない。いい仕事して価値提供、なんて世間のごくごく一部。幸せは人それぞれ、9時5時年収300万円で幸せ、 も悪くない。

若手の価値観の変化と人材市場の流動化で阿吽の呼吸が通用しなくなり、 製品市場でも阿吽の呼吸でしか作れないクオリティよりもコストやスピードが大事になるなら、日本の製造業は戦い方をガラリと変えて標準化・ 組み合わせ戦略で生き延びるのか。それとも、壁を築いて価値観も製品アーキテクチャも守りながら、 すり合わせが活きる領域を見出し続けて世界トップに帰り咲くことが可能なのか。

件の授業ではプリウス開発、レクサス開発のケースを合わせて扱い、 主題はイノベーションを目指すチームの人員構成や社内での権限の与え方、マネジメントからのプレッシャーの与え方といったものだった。 とはいえ、トヨタでこれらがうまくいった背景には人々の行動様式なり、すり合わせ型の製品アーキテクチャと組織の有り様とのマッチなり、 日本人には分かるが他にはなかなか伝わらない複雑な要因もあって、授業の議論ではあまり本質に迫れない。 議論の続きはよっぽどこういうのが好きな連中で後日、飲みながら改めて、みたいな形になる。

トヨタY氏のコメント。突飛でファンシーなことを追求するのがイノベーションじゃあない。当たり前のことを当たり前に、でも 『地道にちゃんとやりきる』ことでトヨタは世界一になった。そうだよなあ、と思う。コンサルタントも見習いたい。

スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。