konpe's 夜の仕事記

民間セクター開発、BoP、Clean Tech

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05後半振り返り:勉強2

ちょっと暇ができたので、ブログのインフラで実験中。ランキングに登録してみたり・・・。 ←ためしに押してみて下さい。

さて昨日に引き続き、残り3つの授業について。いい加減にやってたつもりが、書き出してみると結構覚えてるもんですね。

4)組織論(OP)

ビジネススクールの定番、OB(Organizational Behavior)。なぜスローンではOBでなくOP (Organizational Process)なのかと聞くと、Behaviorではサイエンスにならないからだ、 と答えるRoberto Fernandez教授。彼は、定量分析に強いがソフトスキルが弱い、 とのスローンの風評に梃入れするために数年前にスタンフォードから招かれ、 組織論の教授陣のヘッドとしてカリキュラムの梃入れを図ってきた人物で、この分野への思いが強く、議論のリードも上手。 彼に直接教わることができたのは幸運。「物理学を人間社会に役立てるために工学があるように、 社会科学を組織経営に役立てるためにOPがある」が持論。

授業は基本的にケースで、教材はおそらくどの学校でも見かける内容ではなかろうか。Disneyの企業文化、Lincoln Electricの成果報酬、スペースシャトルChallenger号の失敗、ミルグラムの感電実験、白シャツと黒シャツの錯覚効果、 などなど。スローンで特徴的なのは、よもやま話になりかねない各トピックを「3つのレンズ」という分析ツールで束ねている点。

サイズ変更lenses

・青のレンズ(Strategic Design)...組織はブレークダウンされた目的を達成する合理的な機械の集合体だとみなし、 リーダーは全体の目的が効果的・効率的に達成されるように部門のGrouping、情報流のLinking、 インセンティブのAlignmentを設計しなければならない、という視点。

・赤のレンズ(Political)...組織は相反するアジェンダに沿って人・モノ・ カネの希少資源を争う利己的個人の集まりだとみなし、リーダーはステークホルダーの利害相反を裁定しつつも、Unofficial Networking、Reciprocal Benefit、Escalation of Commitmentを経て自らのパワーの源を確保しなければならない、という視点。

・白のレンズ(Cultural)...組織は水や空気のような規範・価値観や行動様式に支配されているとみなし、 リーダーはLegitimation、Storytelling、Symbolic Manipulationを巧みに組み合わせて構成員をひとつの方向に導かねばならない、という視点。

コース前半はレンズの使い方に慣れるために各レンズに適したケースを取り上げ、後半では3つの視点を統合して、 変革の事例を扱いながらリーダーシップの在り方を議論する。また、授業と並行してチームで取り組むコンサルティングプロジェクトは、 スローンのコア全体を通じてのハイライトの1つ。

この「3つのレンズ」、同僚諸氏にはお分かりの通り、組織を見るときの定番「7つのS」(Shared Value、 Strategy、Skill、Structure、System、Staff、Style)のデフォルメ版とも呼べるツール。 とっつきやすいものの、最初に決めるはずのShared Value(共有価値観、理念)と最後に結果として醸成されるはずのStyle (行動様式)、という大分レベル感の違うものが同じ「白のレンズ」にまとめられていたりと、若干気持ちが悪い。とはいえ、 たった3つというのは7つに比べて皆に分かりやすく、議論の共通の枠組みとして使いやすいし、 Politicalみたいに議論の対象外にしがちなことにも目を向けさせられるのでなかなか便利。

コンサルティングプロジェクトは、学期開始早々から各チームが「クライアント」を独自に開拓、共同プロジェクトを売り込み、 2~3ヶ月かけて「3つのレンズ」を使ってクライアントの組織の課題を分析し、提言をまとめるというもの。クオリティ、 という視点で厳しく見れば、所詮MBA1年生が授業の合間にやる仕事なのでたかが知れているものの、企業にとってみればタダだし、 使える学生をリクルーティングできるかも、という潜在メリットもあり、結構協力してくれたりする。我々のチームでは、 メンバーの1人がMITの学部上がりということもあり、彼女の昔の教授がスピンアウトして立ち上げた近所のバイオベンチャー、 Alnylam (アルナイラム)社にご協力いただいた。この会社は「RNA干渉」という次世代創薬技術のパイオニアで、 産学連携によるブレイクスルーのベストケースとして日本でもこんな形で注目されていたりする。 2002年の創業後、メルクやノバルティスとの戦略提携を経て2004年に新規上場、RSV(呼吸器合胞体ウイルス) の治療薬でFDIに新薬申請を出し、来年から初の臨床入りを迎えようとしている、きわめて重要な成長ステージにある会社。

COOが「ザ・クライアント」として貴重な時間を割いてくださり、3度のCOOミーティング、10回程のマネジメント層・ 従業員インタビュー、ラボツアー、受付のおねーさんへの非公式インタビュー(?)、等々で情報収集。見えてくるのは、 研究オンリーから製品開発や事業開発へのシフト、 組織拡大に伴うスピードと秩序のトレードオフ、属人運営からの脱却と再現性ある組織スキルの確立、といった、急成長期の技術系スタートアップが必ず直面するチャレンジの山々。 分析をすすめる上で「3つのレンズ」はそれなりに有効で、はじめてこの手の仕事を体験するメンバーは分かりやすい「白」 に目が行きがちなのに対してコンサル出身者は「青」に議論を戻し、やたら「赤」に鼻が利くメンバーが鋭い洞察を示す、 といった具合に良好なチームプレイを発揮。クライアントへのプレゼンに加えてクラス内でも発表をしたところ、クラスメートの1人が「ウチの職場もまさにこうだった、これ社長に聞かせたいよ」とやたら刺さっていたのが印象的。後日談としては、COOが先日スローンのバイオセミナーに招かれて講演をした際、 僕が最後に描いた提言チャートの引用で締めてくれていて嬉しかったりもした。

そんなこんなで楽しくはあったが、さて、この科目の学びは何だったかというと・・・実ははなはだ心許ない。元々あった、 ソフト系を授業で学ぶということに対する懐疑心が、若干強まった感もある。ケースにしてもプロジェクトにしても、 皆が本気で当事者と同じ立場にたって真剣になれるかというとそうでもなく、結果、その場でアドホックに反応するだけの浅い議論に終始しがち。 強い思い入れ、オーナーシップ、得るもの失うものがあるもの同志が真剣勝負で議論して、結果うまく行った、 行かなかったというリアルな体験や、第三者とはいえ当事者と深く一体化するよう価値観、行動規範、 評価が徹底されているコンサルティング会社の環境での学びにはやはり及ばない。

しかしながら、 ビジネス教育の100年の歴史の中で取り入れられ続けているケースメソッドなのだからそれなりに認められた意義があるはずだ。 学習効果は教授の腕前にも左右されるだろうし、自分も含めて参加者の「ケースの技術」が未発達ということも響いているのかもしれない。 来学期以降はケースの授業が格段に増えそうだが、学びの大きい参加の仕方を身に着けないと大きな機会損失になる気がしてならない。 このあたり、我々よりもケース漬けになっていると思われる他校諸氏の意見をぜひ聞いてみたいところ。

5)コミュニケーション

これは、いわゆるプレゼン技術とかメモの書き方講座。おなじみのMECE、ピラミッド・ストラクチャーをさくっとやった後、 毎回授業中に誰かが当てられて即席プレゼンをしたり、皆が就職活動で使うレジュメやカバーレターを作って批評しあったり。 OPのプロジェクトとも連携していて、グループプレゼンや提言メモもこの授業の題材。まあ、このあたりは仕事で日々、 散々やっているので新鮮味はないけれど、英語が伸びてないことを自覚させられる良い機会ではある。

6)統計(DMD)

スローンの強みとされている定量分析系の基礎をなす科目。統計の基本概念とか確率分布関数、ディジョンツリーあたりから始まって、 回帰分析、シミュレーション、サンプリング、線形最適化、非線形最適化、離散型最適化と進む。ハードコアな人向けだったファイナンスと違い、 これは数字が苦手な人にも必須とされている入門編で、その道に目覚めた人は来学期からオペレーション系授業、 統計系授業、 システムダイナミクス系授業へと進んでいく。エンジニア出身者には当たり前の内容のようだったが、 自分はこれまでの仕事で厳密な統計手法には案外縁がなく、押さえておきたいと思っていた分野。ツールの使い方の練習もさることながら、 統計の理論的な背景や、ツールの出力結果をリバースエンジニアリングする手法、モデルの妥当性を検証する視点など、 素直にためになると思える内容が満載。

意外にもこの科目ではケースを多く扱う。とはいっても、HBSから輸入した目線の高い議論のためのケースではなく、 スローンオリジナルの、地道な定量分析に目的を絞ったケース。たとえば回帰分析の練習に使ったのは、事実を基にしたこんなお題:

・ある携帯電話キャリアが、3G(第三世代携帯電話)サービスへの参入を検討している
・3Gサービスで使う電波帯域は政府からライセンスを受ける必要があるが、これの価格はオークションで決まる
・2000年の通信バブル期に3Gサービスを開始した各国ではオークション価格が高騰し、 多くのキャリアは投資回収できないとの見込みが強い
・不確定要素が多く、ビッドの適正価格を推定することは難しい。NPV分析やゲーム理論分析など、 手法毎に全く違った数字が出ている
・そこで、他国のオークション結果のデータを基にした回帰分析を判断材料に加えたい。30ヶ国分の市場データが手元にある
・決めたいのは、これからライセンスのオークションが始まる3ヶ国について参入するか否か、参入するならいくらでビッドすべきか

そんな課題を回帰分析で解くかよ、というツッコミを入れたくなるのもやまやまだが、 現実にこれが当時の各国キャリアにとって頭の痛い問題だったことは自分の仕事上の経験からもよく知っている。 与えられるデータは30ヶ国分のオークション結果に加えて、各国プラス懸案の3国について人口、GDP、携帯電話普及率、ARPU (携帯電話ユーザ1人当たりの通話料金)、政府が発行するライセンス数、それを争うキャリアの数、オークションの方式、 入札当時の通信銘柄株価指数、などなど・・・。闇雲に分析しても説明力のある結果は出ないが、 定性的な考察に基づいてモデルを組めばそれなりの答えが出る、という良問。ケース実物と自分の回答例を載せたので、 よっぽど興味のある方はどうぞ。

因みに、来学期以降の科目選択はオークション制になっていて、学生は持ち点1,000点を取りたい各科目に割り振り、 限られた席数を争ってビッドする。各科目について過去3年分の学生からの評価(教授の質、講義内容の有用度、理論的背景の充実度、クラス内の議論の質、ワークロード、などなど) が公開されており、2年生を通じて科目毎の需要動向は大方掴むことができ、将来取りたい応用科目に向けたPre Requisite科目を考慮する必要もあり、ビッド前の時期になると皆「Optimizeしたぜ!!」なんて冗談を飛ばしあう・・・が、 本当にやっている人がいるのかどうかは不明。

 


 

総じて全科目について、基礎的な理解は得られたものの、科目によってはリアル感や自分の興味分野との距離からさほど身が入らなかったのも止むを得ず、 といったところ。学び方についての持ち越し課題も大きい。来学期に向けては、今回得られた自己認識とスローンの強み・弱みへの理解(とOptimization?)から、 相当的を絞ったBidding戦略を立て、希望科目をすべて取ることができた。勉強の優先度はいくぶん上がる見込み。 これについてはまた今度。

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