konpe's 夜の仕事記

民間セクター開発、BoP、Clean Tech

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05後半振り返り:勉強1

引き続き、MBA学業の振り返り。今期の授業は以下の6つ:

1)ミクロ経済(Economic Analysis for Business Decisions = Econ)
2)ファイナンス(Financial Theory = Fin)
3)財務会計(Financial Accounting)
4)組織論(Organizational Processes = OP)
5)コミュニケーション(Communication for Managers = Comm)
6)統計・シミュレーション(Data, Models, and Decisions = DMD)

考えてみたら、ここでまともに授業のことを書くのって、半年も経って初めてでした。力の入れようが分かろうというもの・・・。一応、 スローンの必修カリキュラムの特色について触れておくと、

・上記のうち、ファイナンス以外の5科目はコア(必修)、残りはファイナンスとマーケティングから1つ選択。とはいえ、 大半の人は次の学期にもう片方も取る

・多くのビジネススクールで1年目は必修科目で固められるのに対し、Sloanの必修は半年で終わり。 他の学校では必修になっている科目(戦略、オペレーション、マクロ経済、管理会計、交渉論、ガバナンス/倫理、リーダーシップ、など) は、大半の人が春学期以降に選択科目として取る。一方、興味分野がはっきりしてる人にはこの辺は飛ばして、 すぐ応用編の授業を取ったりMITの他学部の授業を取りはじめる自由度もある

・川の向こうのHBSの特色が「Caseの予習」だとすれば、MITのコア科目を特徴付けるのは「Pset(Problem Set=宿題)による復習」ではなかろうか。特にEcon、会計、ファイナンス、DMDでは、 毎週~隔週位のペースでけっこうな分量の宿題が出る。みっちり数字を叩いて基礎体力を鍛えられる反面、経営者の目線とか難しい価値判断とか、 そういうのとは遠い世界。好みが分かれる所。

さて、各科目どうだったか、個別に思い出してみると・・・。(以下、関連分野の人以外にはつまんないかも)

1)ミクロ経済

↓こんな人が教えてます・・・。

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ハロウィーンの次週に仮装して現れた、サービス精神旺盛なThomas Stoker教授。

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最初は大喜びしたものの、黒板に数式が展開されるにつれ、表情が険しくなるクラスメート。

内容は(たぶん)普通のミクロ経済。需要と供給、関税や輸出入規制の影響、独占市場での価格設定、ゲーム理論、市場の失敗、などなど。 個別企業の意思決定に焦点をあて、いろんなモデルをつかいながら、利益最大化の計算問題をひたすら解いていく。

「コンサルティング会社ではほんとにこういう仕事するの?」 と何度か聞かれたが、うーんどうでしょう。 概念としてはなんとなく使ってるもの(ラーニングカーブとか、ネットワーク外部性とか、競合のシミュレーションとか)もあるけど、実際 「Set MR = MC and solve for Q...」なんて定式化できるほど世界はキレイじゃない訳で、、、 そのままの形で使うことがあるのは、SCPとかFive Forcesみたいな業界構造を診る枠組みと、Industry Cost Curve (生産者毎のキャパ×コストを積み上げた供給曲線)など一部の分析手法くらいか。それも最近は使いにくくなったなあ、 世の中益々複雑になったからかなあ。

そんな風に、早い段階で割り切ってしまったので話半分に聞いてる程度だったが、 戦略なんかの授業のまえにきちっとこういう概念を押さえておく、というのはやっぱり大事だったのかもしれない。ちょっと反省。気が向いたら、 いつか教科書くらいは読んでおくことにしよう(←絶対読まなそう)。ただ、これの続編「Industry Econ」はミクロ経済の枠組みを実際の業界分析に当てはめる授業で、スローンの看板教授の1人が教え、大変実践的と聞く。 これを来年秋にでも取ることにして、その時は本腰入れて勉強しようか。

振り返ると、自分の思考が見事に職場に染まっていることに気付かされる。コンサルタントにとって知識の習得は、プロジェクトの都度、 必要な知識体系の表面だけ猛スピードで勉強し、 深いところは社内に必ずいるエキスパートを地球の裏側からでも探し当ててひたすらレバレッジするというモデル。その背後には、 目の前のお客のリアルな悩みに答えるのに直接役立つと確信できること以外には極力時間を使わない、 アカデミアと対極のショートカット主義がある。リアルじゃないと(応用が見えないと)興奮しない体になってしまった、 と自覚できたことが本科目の収穫か。この学びは、来学期の科目選択に大いに活かされる予定。

2)ファイナンス

前にちょっと書いた通り、 ファイナンスについては通常のMBA向け授業の代わりに、主に工学部の学生対象の授業に履修変更している。 これはMITが金融技術に通じた人材供給へのニーズに応えるために設置したFTO(FInancial Technology Option) というプログラムの入門コースで、ヘッジファンドとか資産運用への針路変更を視野に入れているエンジニアやサイエンティストがクラスの大半、 ファイナンスのキャリアを強く意識しているMBA学生が約1割。とはいえ、題材はMBAの授業と基本的には同じで、 数学的にややこしい内容も飛ばさずにちゃんとカバーする、という違い。一学期目は債権、株式、先物・オプション、ポートフォリオ、 CAPM/APTあたりまで。MBA向け授業でも理論の発展の系譜に沿って積み上げ式で進み、 半年たってもコーポレートファイナンスにほとんど触らないあたり、いかにも理論重視のMIT。 ブラック-ショールズ式を生んだ学校だけのことはある。

この科目、Econでの自己認識とは相反するようだが、じつは自分の仕事にほとんど関係ない割に今学期でもっとも刺激に満ちていた。 理由は教授の本物感、講義の目線の高さ、クラスのMIT理系学生の恐ろしいまでの吸収力に晒される事のスリル、ではなかろうか。 担当するAndrew Lo教授は自身でヘッジファンドも経営している業界では名の知れた人で、細かい数学は流して(TA担当の補講でカバー)、 授業ではじつに本質的な議論に注力する。昔はWhartonで教鞭を取っていたそうだが、「MITで君たちを教える時は、 数学の余計な説明をしなくていいからラクでいい」なんて言う。

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「MBAは『先生、どうして∂を約分しないんですか』 なんて聞くからな。」(って、スミマセン僕も聞きそうになりました)

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教授の80年代の研究。ヒストリカルデータに適用すれば25年間に渡って年率リターン50%という、脅威の裁定取引を導いた式。 (だそうですが、式の意味は僕にはサッパリ・・・解説をノートに書き止めるのを途中で諦めた様がよくわかります)。

この研究でランダム・ウォーク仮説を正面から反証し、学会に衝撃を与えた。「フリー・ランチが本当に無いかというと、 そんなことはない。私はやらなかったが、知人のファンドはこれを使って5億ドルも儲けた。だが、90年にこれを出版してから10ヶ月で、 市場からこの裁定機会は消滅した。これがMarket Efficiencyのボトムラインだ」・・・半年間でいちばん腹に落ちたひとコマ。

不思議なことにこの先生には私欲というものがない。授業を通じてビシビシ伝わってくるのは真実解明への情熱と教育へのコミットメント、 そして絶妙な知的ユーモアだ。あるファンドマネージャーとの討論中のやり取り...「Professor, if you are so smart, why are you not so rich?」と聞いてくるので、「If you are so rich, why are you not so smart?」と返してやった。こんな小話が、 授業が難しい所にさしかかって皆が下を向き始めた頃に必ず飛び出し、巧みに学生の集中力をコントロールするのに一役買う。

この科目で毎週課される宿題は難しく、全科目の勉強時間の半分以上はこれに費やしていたと思う。土曜一日、頭を抱え、 日曜午前になっても分からないので午後にComputer Science学科のチームメイトと会ってみたら、 彼は涼しい顔でこなしていたりする。授業で概念的には分かった気になり、 補講で数式を触ってみたらサッパリついていけてないことに大いに焦り、週末に宿題をやってなんとか乗り越えた気分になるが、 次の週にまた突き落とされる、というサイクル。「SloanでなくMITの水準」を垣間見る思い。これがまだイントロだなんて。

コーポレートファイナンスはやるにしても、計量系に更につっこむことは少なくとも当面はないだろう。 自分にもう少し数学の素養があったらこんな仕事も楽しいのかもしれないが、不得意な事をやって成功できるほど人生長くない。とはいえ、 脳みそを無理やりストレッチさせるのはそれはそれで快感だったりもする。こんな贅沢な時間の使い方もモラトリアム学生ならでは。 そんな風に心に残る授業でした。

3)会計

これ。同級生たちの間では結構評判が悪い科目。やはりほぼ毎週の宿題で、とにかく細かく仕分けをやる、数字を叩く。

もちろん会計士でなくマネージャー教育の一環なので、主眼は財務諸表の数字の実際の作り方を肌に染み込ませることを通じて 「数字のどこに裁量の余地があるのか、数字からどのような意図が読み取れるのか、操作を外して横並びで評価するにはどうするか」 を学ぶことにある。というお題目は分かっていても、もうちょっと教え方を工夫する余地があるんでないかい、と思えてしまう。 以前からSloanのアカウンティングは評価が高くないが、教授陣の総入れ替えがあったばかりで、 カリキュラムがまだこなれていない感もある。

各Financial Statementの構造に始まって、在庫のFIFO/LIFOの選択、 A/RのAllowanceの設定の仕方、Capital LeaseとOperating Leaseの選択、 プレミアムやディスカウントを伴う債券発行、税効果会計、云々について、何が起きたらどの勘定科目をどういじるのか、 違った方式を選択していたらレシオがどう変わるのか、マネジメントがこの選択をした意図は何か、10Kを睨みながら微に入り細に入り、 数字を叩く。知的に難しくはないが刺激もない、こまごましたルールを逐一当てはめるのが面倒くさい。株のアナリストじゃあるまいし、 将来自分でこんな作業をやることがあるのか?

そんな疑問を抱きつつ、学期が終盤に差し掛かった頃・・・最後に3つばかりやるケースを予習で読んでいて、意外にも目が覚める思い。 1つは多分どこのビジネススクールでもやるのではと思われる、ワールドコム破綻のケース(HBS)。 倫理判断の狂ったCEOとCFOが会計操作を指示した時、組織力学の下でスタッフがどう動いたか、社内監査室、取締役会、 会計事務所の機能がなぜ損なわれてしまっていたかを描いたケースで、 内部告発者が軋轢を潜り抜けて真実を暴くくだりは企業ノンフィクションばりの人間ドラマがみられて面白い。企業文化、リーダーシップ、 ガバナンス、色んな観点から議論ができる良書。

さて、このワールドコムの会計操作ではAccrual ReleasesとExpense Capitalizationという2つの手段が使われたということだが、ケースを読んでいると帳簿上の数字がどんなからくりで動いたか、 会社の実体とどんなギャップが生じていったか、ありありと目に浮かぶ。いつの間にやら数字のしくみが肌に染み込んでいた、と気が付く瞬間。なるほど、我慢しながら学んだ意味はこういう所にあったのか。 意外とよく考えられたカリキュラムだったのかもしれない。事件の実際についての深い理解をもとに、どんな議論がなされるのか楽しみだ。 そう思って授業に臨んだところ・・・、そこで教授がやったのは、またも仕分けの再現とレシオの比較。もう、ええっちゅうねん。

なんだかんだいって、基礎力が身についたから良いということかもしれない。HBSでは同じケースを、 会計的な理解はぼやっとしたままに「この時彼は何をすべきだったか」「どうしたら防げたのか」とひたすらに議論した、ということだったが、 それもどうかという気もしなくもない。しかしこの授業を終えた今、ハイと財務諸表を渡されて、 サッと目を通してズバッと会社の問題点を見抜けるようになったかというと、そんな境地に達した気は全くしない。 会社で古株の同僚の中にはそういうことができる人が何人かいて、あぁこんなことが出来るようになりたいな、と入社当初は思っていた。 彼ら彼女らは特に会計や金融バックグラウンドという訳でもないが、経験と鍛錬で勘が磨かれるのだと言っていた。分からん。 半年間それなりに時間を使っても、まったく経験と鍛錬になっていないのか。やっぱり我々コンサルタントは、 お客のリアルな悩みに共感し、泣き笑いを共にしながらプレッシャーの下で身体を削って仕事をしないと学べない人種なんだろうか。この授業の続編として、 FSA (Financial Statement Analysis)という実践編もあるが、はたして取るべきか。 ないよりはあったほうがいいスキル、というのは際限なくある中で、アカウンティングが自分が学んでこそ価値がある、 ここで学んでこそ価値があることなのかというと、かなりの自信を持って違うと言える気もする。分からない・・・。 そんな風に残尿感が漂う授業でした。

続きの科目についてはまた今度。

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