konpe's 夜の仕事記

民間セクター開発、BoP、Clean Tech

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メディアラボ鳥瞰

来週からはじめての試験(Mid term exam)のため、Sloan1年生の間では緊張感が高まる一方。日々、TA (Teaching Assistant)たちによる試験に向けた復習セッションが行われたり、どこから仕入れてくるのか 「試験でこんな問題が出るらしい」情報がメールで回ってきたり、 普段図書館では絶対会わないクラスメートが珍しく教科書とにらめっこしてたりと、皆準備に余念がない。

一方、メディアラボのスポンサーミーティングも来週に迫ってきた。人と研究内容を知る大事な機会なので、 それなりに準備して臨みたいところ。扱っている分野が多岐に渡るので、 これまでたまたま出会ってきた人たちの話を総合してもまったく全体感がつかめた気がしない。 ラボでは約30人の教授がほぼ1人1つづつ研究グループを持ち、 グループ毎に数人~10人程の学生が各々自由にテーマを定めて研究をしている。 いくつかの研究グループが合同で取り組んでいる横断的なテーマもある。スポンサーがお金を出す際の「商品」ともいえる、 大括りのコンソーシアムという分類もあるが、 各グループがコンソーシアムをいくつも掛け持ちしていたり括り方がいつの間にやら変わっていたり、 ダイナミックで良いのだが鳥瞰するのが非常にむずかしい。どうしたものかと思っていたら、こんなお知らせが舞い込んできた:

「Media Lab Faculty Marathon」

これから研究テーマを決めるメディアラボの新1年生を対象に、丸1日をかけて、 教授陣がひとり15分ずつ各自の研究内容を紹介するというもの。まさに渡りに船。

タイムテーブルは以下の通り。

10:00 Welcome: Mitchel Resnick
10:15 Lifelong Kindergarten:  Mitchel Resnick
10:30 Affective Computing:  Roz Picard
10:45 Commonsense Reasoning:  Push Singh
11:00 Object-Based Media:  Mike Bove
11:15 Music, Mind & Machine:  Barry Vercoe
11:30 Physical Language Workshop:  Henry Holtzman/John Maeda
11:45 Molecular Machines:  Joe Jacobson

12:00 LUNCH, hosted by Media Lab Student Committee

1:00  Tangible Media:  Hiroshi Ishii
1:15  Human Dynamics:  Sandy Pentland
1:30  Computing Culture:  Chris Csikszentmihalyi
1:45  Speech Interfaces:  Chris Schmandt
2:00  Sociable Media:  Judith Donath
2:15  Robotic Life:  Cynthia Breazeal/Andrea Thomaz
2:30  Future of Learning:  David Cavallo
2:45  Changing Places:  Kent Larson

BREAK

3:15  Ambient Intelligence:  Pattie Maes
3:30  Context-Aware Computing:  Ted Selker
3:45  Responsive Environments:  Joe Paradiso
4:00  Media Fabrics:  Glorianna Davenport
4:15  Cognitive Machines:  Deb Roy
4:30  Nanoscale Sensing:  Scott Manalis
4:45  Opera of the Future:  Tod Machover

この日都合がつくファカルティメンバーだけで、大物教授が抜けてたりもするが、じゅうぶん濃い内容。1日講義を受けてみて、 それなりに全貌がつかめた感じはする。メディアラボが創設された頃の中心テーマ、ITとアートの融合領域から、下のほう(基礎技術寄り)、 上のほう(社会寄り)へとかなり研究対象を広げているように見受けられた。

悲しいかな、複雑なものを見ると整理したがるのがコンサルタントの習性。これをやると豊かなディテールは失われ、 思いを込めて違う説明のしかたをする人の非難を受け、理解の浅さを露呈して恥をかき、良くないことも多いのだが、 自分の取っ掛かりのために勝手に上、中、下に分けて理解することにした。もちろん、下(一見要素技術寄り) のグループが応用もやっていたりと、漏れもダブりもあるのだが、ざっくりエイやと今動いている研究テーマを分類するとこんな感じ。

 

要素技術・ハードウェア寄り(下)

【物理/材料系】...いわゆるナノテク。分子機械、微細計測技術など。DNAがタンパク質を作るプロセスに学び、 エラー訂正を組み込んだデジタル製造プロセスを作る。あるいは昔メインフレームがPCに進化したように、今ある工場をPF (Personal Fabricator)に進化させる、といった興味深い目標を掲げる(リーダーNeil Gershenfeldの著書「FAB」 に詳しい)。

【バイオメカトロニクス系】...お題目は「人間の身体能力を強化するテクノロジー」。神経や筋肉と直接連動する義手・ 義足といった装具、それらを制御するセンサー・アクチュエーターといった部品から人型歩行ロボットまでカバー。リーダーは、 事故で失った下半身を自ら開発したというHugh Herr。

【デバイス/コンピュテーション系】...量子コンピュータ、 半導体チップのラピッドプロトタイピングのような基礎研究から紙のようなディスプレイ、3次元ホログラム、 音をビームにして飛ばすスピーカー、超小型プロジェクタといった製品に近いデバイスまで色々。最近の発明は日本でも雑誌に載った 「逃げ回って隠れる目覚まし時計」、Clocky。 これを作って有名人になったNandaも元々はこのグループの教授の下でチップ埋め込み繊維という研究をやっていた学生で、 イグノーベル賞まで受賞したが、この夏に卒業。

 

アプリケーション・ソフトウェア寄り(中)

【センサー系】...ハードといえばハードだが上記に比べればアプリ寄りであろう。衣服や家具や住宅に埋め込んだRFID、 部屋中に取り付けたカメラ、携帯電話やら椅子やらマウスやらに組み込んだ諸々のセンサーで、人の健康状態、感情、 周囲の出来事をコンピュータが捉えられるようにする。

【AI・エージェント系】...従来のAI研究の行き詰まりを、いろんなアプローチで超えようとする。センサー情報を元に状況・ 文脈を判断したり、蓄積された膨大な「人の常識」の知識をもとに推論を働かせたり、人からのフィードバックを受けて学習したりする。 Commonsense Reasoningというチームで推論エンジンと常識データベースを公開していて、 他の研究グループにもかなり使われていたりする。

【インターフェース系】...キーボードやマウス以外のインターフェース。今やラボの看板になっている石井裕教授の 「Tangible Media」に加えて、ウェアラブル、音声認識、その他諸々。 アプリケーションはお絵描きだったり台所での料理だったり結婚式(例のJackieの花瓶)だったり、はたまた未来の自動車だったり、 流体設計のツールだったりもして、じつに多彩なのだが到底書ききれない。

【ロボット系】...社会活動を通じた学習、曖昧さの解釈、感情表現などに焦点をあて、ロボットと人との協業をめざす。 女性にしてラボの最年少教授、Cynthiaが丹精こめて作って(育てて?)いるLeonardoはなかなか衝撃的。

【表現系】...芸術、音楽、建築、都市設計まで。例えば建築では、 住宅の基本設計と建材をオープンソースでモジュール化しようなんて研究とか。本業アーティストの人達がやっていてこれまた書ききれない。

 

社会寄り(上)

【教育系】...モノを作るだけでなく、ワークショップや全米での教育施設の運営、 デジタルデバイド解消に向けた産官学連携など、 活発にフィールドに出ているのがこのグループ。LEGO Mindstormを生み出した、 子供の創造性と自己表現を引き出す未来のオモチャの研究はここから。 途上国の子供の教育環境改善に向けた100ドルPCプロジェクトが日本でも注目を浴びていると聞く。

【その他社会系】...政治活動、組織研究、医療、等々。ウェアラブルやセンサーを通じた人間行動の観察、 コミュニケーションの支援から派生して、やはり多彩なフィールドワークをやっている。ここの教授の一人、Sandy Pentlandはスローンでも「Developmental Entrepreneurship」なんて授業を教えていたりする。

 

さて、スポンサーミーティングでどこをどう見るか。送られてきた日程表と、Sloanの中間試験・授業の予定とを見比べると、 結構ぶつかっていて悩ましい。試験なんて、気もそぞろで受けてられなそうなのだが・・・。

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コメント


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konpeさん こんにちは。以前YU君の友達としてTBさせて頂きましたYayoiです。実は先週Bostonにいて14日MIT見学してきました!広すぎて、ビジネススクールの方までは回れなかったんですが、タイ王妃様が来ていたりイベント盛りだくさんだったんですね。メディアラボはそもそも学生は殆ど入れないと聞きましたがほんとですか?ものすごい大金を積まなきゃいけないとも。

Yayoi | URL | 2005-10-18(Tue)15:27 [編集]


なんと。お知らせいただければMITご案内しましたものを。
メディアラボに学生として入るのはなかなか大変みたいです。テストの点とかじゃなくて、過去の作品ポートフォリオを出願したりします。
大金積むのはスポンサーとして人を送り込む場合ですね。それでも今日スポンサーミーティングに出てみたら、出資しようかな~と考えてるゲストが沢山来ていて、改めて注目が高まってることをひしひし感じました。

konpe | URL | 2005-10-18(Tue)16:10 [編集]


おヨメ入りには1千万円くらい集めてこないといけないと聞きました。それを聞いて最初に思ったのは、学校もビジネスなんだなあと。アメリカの大学は学費もべらぼうに高いし、教授もお金を集めてこられないとすぐクビになると聞いています。生き残りに必死ですよね。
でもその代わり一般企業もスカラシップに熱心だし、そうして意欲をもって学界の動向に注目しているというのは、すばらしいことですね。日本の産学連携が目指していくべき姿でもあるのでしょう。大きなInputがあるからこそOutputの規模も大きくなるのでしょうし。
でも選ばれる学生の立場としては大変ですよね!konpeさんもがんばって下さいね。

Yayoi | URL | 2005-10-20(Thu)12:32 [編集]


学校も商売ですが、一方でお金はないけど優秀、という学生にはとても寛大です。僕はしがないMBA学生なので高い学費払ってます(とはいえ、社費と奨学金のお世話になっています)が、メディアラボの学生は学費タダ、全部スポンサーが面倒見ます。
他の工学系の大学院生も、研究をする見返りに教授から学費・生活費すべて賄える給料をちゃんともらってる人が多いです。間近の技術は企業のお金で、将来技術の基礎研究は国とか軍のお金で・・・来てみると当たり前に見えますが、日本とはずいぶん事情が違います。

konpe | URL | 2005-10-22(Sat)11:15 [編集]


こんにちは。28歳になられたそうで、遅ればせながらおめでとうございます。恵比寿をふらついてたころは、二十歳そこそこだったのに・・
製薬メーカーで研究者をやっている友人(かなりの美女よ)がkonpe先生を紹介して欲しいとのことだったので、URLお伝えしておきました。
仲良くしてあげてくださいまし。
にしても、楽しげですね。M&Aも面白いけど、MITいいなあ・・

nakamura@e | URL | 2005-10-22(Sat)15:26 [編集]


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