konpe's 夜の仕事記

民間セクター開発、BoP、Clean Tech

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灌漑EVプロジェクト

約10日間のバングラ行脚が終了。夜仕事の収穫は上々。

いろんな面白い人に会いましたが、なかでも楽しかったミーティングといえば、

20100105174528(1)

グラミン銀行のユヌス総裁でしょうか。「こう、こんなふうにやったら、いいと思うんですが。」

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どうせやるなら、あんなこととか、こんなこととかも、どう? 「うむー、なるほど。さすが」

なんの話だったかというと、ソーラーと電気自動車を使った分散型灌漑システム、というお題でした。えっ何のこっちゃ、と思われそうですが、概要は以下:

jpsolar

日本のソーラーは、固定価格買取制度をいち早く入れたドイツとスペインにさくっと抜かれてしまいました。。。という話は、国内ソーラー関係者ならみんなが知ってる話。でも、、、

  Bangla_solar

じつはバングラデシュにも、導入世帯数ベースではもう追い付かれてます。。。という話は、ほとんど知られていない。

バングラのソーラーは、まだ電気が通っていない村で、↓こんな感じで小規模(50Wpほど)なパネルを、グラミンなどがマイクロファイナンス込みで設置、というのがほとんど。

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用途は夜間の照明が主で、子供が夜でも勉強できる、というのが一番の導入理由だったりする。日本では数kWpのパネルを屋根一面につけるので、世帯数でなく容量ベースに直せばバングラの導入量は日本よりまだまだ小さい。

でも、バングラデシュのほんとの太陽光ポテンシャルは家庭用よりずっと大きい、別のところにある。

irrigation

国民の7割が農業をやってるこの国で、灌漑用水を井戸から汲み上げるエネルギーは(農地に電気が来ないので)ほぼ、ディーゼルに依存。ディーゼル価格上昇が即、穀物価格上昇につながるので、食料安全保障上も重大懸念。

ちなみに、上の2002年のグラフでは1エーカーあたり4,600タカだったバングラでの平均灌漑コスト、現在は6,000タカ(8,400円)といわれている。10kWp(200万円+)のソーラーパネルがあれば10ヘクタール(25エーカー)ほど灌漑できるとされ、年額20万円の節約。これは10年で元が取れる。ソーラーパネルの価格下落は早く、ディーゼル価格も上昇基調なので、回収期間はもっと短くなる。

グリッドパリティといって、ソーラーパネルで発電するコストと電力会社から電気を買うコストが同じになるポイントまでパネル価格が下がることがソーラーの自律的普及の分水嶺といわれるが、代替手段が系統電力じゃなくディーゼル燃料になる用途では、ブレークイーブン価格はずっと高い(早く普及が進められる)。灌漑用のディーゼルエンジンは今、国内に120万台、ディーゼルで灌漑されている耕作面積は400万ヘクタールほど。ゆくゆく、全部置き換えるつもりで皮算用すると、、、けっこうな規模。

当然、こういう機会に目をつけて、国内で研究開発とか実証実験をしている人達も、国外(主にドイツ)からシステム売りに来ている人達もいる。

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ダッカ大学の先生達が実験中のシステムを見せてくれた。なるほどー。

ただ、いろんな統計情報を見てわかること、また今回、地方の農村を回って確信を深めたこととして、大規模・集約型のソーラー灌漑は普及しえない、という問題がある。根底にあるのは土地の所有形態と、一部裕福農家への灌漑依存。

landownership

イスラム教の教えで土地を均等分割しながら相続してきた結果、平均的な農家の耕作面積は0.3ヘクタールくらいしかなく、自前の灌漑設備もなく、井戸や設備を持つ大規模農家から水を引いてもらう引き換えに、年貢みたいに収穫の1/3も納めている。こういうところで全量置き換えを本気で目指すなら、今さかんに実証試験が行われている集約型、10ヘクタール分のパネルを置いて深井戸を掘って水路を引き回すような導入形態では駄目なのが目に見えている。

代替案は、無計画に掘られて点在する浅井戸の間を動き回り、既存のポンプにも着脱可能な分散型の電動灌漑設備。パネルから離れて動くとなると蓄電池も必要になる。電池が重たいが、揚水用モーターを駆動にも使う自走式にすればよく、TataNanoの例にあるようにいまや簡易な車両自体はたいしたコストにならない。それって、ポンプ付き電気自動車なのではないか? リチウムイオンの電池コストが今後こうなるので、いつ頃いくらくらいで出来るかも、という話をあちこちでして、反応を見る、というのが今回のバングラデシュ訪問の目的。ソーラーパネルのグローバル競争では、日本企業はもう厳しい立場に立たされていますが、電気自動車および蓄電池は、まだまだ、これからだしね。

decentralized solar

反応はとてもよく、グラミンのユヌスさんからは「むしろ、充電済み蓄電池の貸出事業をフランチャイズでやらないか」と逆提案。灌漑以外に、今の小規模パネルでは満たせない電力需要が地方農村にはゴマンとある。「設け方は、電池を借りるマイクロアントレプレナーがみなで勝手に考えるさ」。それって途上国版BetterPlaceですねえ。「なになに、どんなの」・・・約束の時間を大幅超過して盛り上がる。

 


 

こんなことを考える狙いは、蓄電池とソーラーパネルの大規模需要の先行開拓、ということ以外にもうひとつ。CO2の排出削減効果というのも大きい。

BG_CO2

バングラデシュの排出量の2割が灌漑向けのディーゼルエンジンから出ている。この勢いで伸び続ければ、2020~30には数倍になる。

同様の、無電化村でのディーゼルによる地下水汲み上げはインド、パキスタン、ネパールといった南アジア全域、および中国南部で大量に行われている。ざっくり見積もったら、これらを全部、日本からの技術移転で再生可能エネルギーに置き換えれば、対90年比25%削減の目標のうち1/5相当がとれてしまう計算になった。バングラはこの中ではごくごく小さな一部だが、グラミンをはじめ、現地に強力なパートナー候補がいくつもあるので、まず手をつけやすい場所ではある。

(製鉄所の海外技術移転による国内損失分を埋め合わせるのと、灌漑EVで電池コストが下がりきるまでコストに見合わない分をODAか何かで埋め合わせるのと、どっちが安いの?みたいな比較はまだしてません)

モノを作る会社さんといっしょに秘密の検討に入ったりするまでは、いまのところは個人の趣味活動(「夜の仕事」)なのでオープンソース的に動いてます。面白そうだし儲かるかも、と勝手に取り組みいただくのはそれはそれで大歓迎ですが、知恵を貸していただけたりするともっと歓迎です。とくに、減水深、とか聞いてピンと来る農学方面の方、揚水高度と汲み上げ水量から必要エネルギー量が暗算できちゃうみたいな方、それから電池方面と自動車方面の方々はとっても歓迎です。というか、お助け下さい。ぜひ個別に連絡を下さい。

 


 

今回のバングラデシュ訪問は、年末年始の休暇を使って正味10日で面談20件強、まずまずの生産性。

コソボでやった時、またマケドニアでやった時ワシントンDCでの経験から、はじめての国でBoPとか投資呼び込みとかを考える時はだいたい、UNDPと世銀に会いに行って国の開発課題の背景全般を押さえ、IFCに会いに行って民間投資の活発度合いと外資の興味の所在を押さえ、そこでマップを描いてコンタクト先を仕入れて一網打尽にする、という動き方が身についた。今回は、国内でソーラーパネル生産しようとする人、抑水農法に情熱を燃やす人など意外な出会いも。バングラでも確立した大企業の人達は相当しっかりしていて、NGOばかりの国ではない、というのも発見。

何より、聞き及んでいたのと全然違う人々の暮らしぶりがいっぱい見えたり、どんなに貧しくても子供は手を振ったら必ず笑い返してくれるのをみて嬉しかったり、国全体が成長軌道にある中での個々人の躍動感を全身に浴びられたり、成長パスから置き去りな人達に真摯にクリエイティブに向き合う同志たちと出会ってインスパイアされたり、全然知らなかった国の経済・社会の成り立ちみたいなものを1から解きほぐしてゆくワクワク感があったり、そういう諸々がもう癖になってしまったので、こういう夜仕事はやめられません。

周辺の面白ネタはまた、思い出しつつ書きます。

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