konpe's 夜の仕事記

民間セクター開発、BoP、Clean Tech

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日本の文化って

フルブライトのオリエンテーションは、思ったよりずっと濃い内容。柄にも無く、日本の文化ってなんだろう、とか考えてしまった。また、 1参加者としても非常にありがたく、楽しくもあるこの交換留学プログラム、アメリカにとって何なのか、 という視点で見直してみると改めて興味深い。

昨日の時差ボケが抜けず、同室のNathi君にたたき起こされてなんとか起床。彼はスイス人と聞いた気がしたけど、 朝食をとりながらどうも話が噛み合わないので聞き直してみたら、SwizerlandじゃなくてSwazilandだそうだ。スワジランド: 南アフリカとモザンビークに囲まれた国。黒人でスイス出身なんておかしいな、と思ったんだ・・・失礼ながら、 そんな国があることも知らなかった。

朝のニュースを見ながら訊いてくる。「北朝鮮が核開発をしてるって本当? 君の国あぶないんじゃないの」  日本人はそんなに深刻に気にしていない風だし、この問題には日本政府よりアメリカ政府のほうがよほど熱心じゃないか、みたいな話をすると、 信じられない、という顔をされてしまった。こんなときに使うアフリカのことわざがあるよ、といって教えてくれた言葉が、 「象がケンカすると雑草が痛む」。無関係な小国にとっては核なんて迷惑千万、もうちょっと気にしてよ・・・って、一応、 僕らは唯一の被爆国なはずなんだけどなあ。

そんな会話をしながら始まった最終日。今日のテーマは「異文化間の相互理解」というもの。

フルブライト奨学生には、プログラムの設立の趣旨からして、 留学を通じてアメリカに自国の文化を伝えつつアメリカの文化を学び、その経験を持ち帰って自分の国の人々と共有することが期待されている。 そのために2年間の自国滞在義務という条件までついていて、卒業後、国に帰って2年経つまでは、 再びアメリカに来るためのビザ取得が制限されたりする。

この趣旨に沿って、「アメリカ文化を理解する」というセッションが半日にわたって行われた。教壇に立つのは、 大学でinternational relationsを教えるアメリカ人教授。「そもそも、アメリカに文化なんてあったっけ」 というヨーロッパ人学生のツッコミを受け流し、文化の定義から講義は始まる。彼によれば文化は氷山のようなもので、 目に見えるところにbehavior(行動)が、水面直下にはbelief(信条)が、そして水中深くにはvalues(価値観) とかthought pattern(思考パターン)がある。目に見える部分は時が経てば変わるし個人差も大きいけれど、 大事なのはより普遍的な水中の方。こっちを理解しておかないと表面の衝突は避けられないし、これは国や民族の歴史に規定されるものなので、 歴史を学ぶ必要がある・・・。そんなイントロから始まって、アメリカが経験してきた国際舞台での出来事や政府の行った判断、国民の捉え方を、 実例をこまかく取り上げながら振り返るという講義だった。

その手の社会科学の分野では初歩の内容だったのかもしれないが、この陣容でインタラクティブにやるとなかなか刺激的。 ベトナム戦争やら国際テロ組織やらの話を、ベトナム人やアフガニスタン人の学生の前でするのだから。 「アメリカが湾岸に出てくるのは政治的な理由も経済的な理由もあるはずなのに、evilとかgoodとか単純な構図で宣伝するのも、 あなたの言うcultureのためか」...質疑応答は、さながらアメリカ代表vs各国代表対決みたいになってくる。

「私は学者だから、弁明したり擁護したりはしない。説明するだけだ」といなしながら、質問に答えていく教授。僕の理解したかぎりでは、 アメリカの文化を特徴付ける歴史上のポイントは3つある。

?封建制度を経験していないので、階級や家系をまったく意識しない。個人主義、行動重視。

?戦争で本土に侵攻された経験がほとんどない。(意味合いは語られなかったが、生死観か? 諦観とか有り得なそうだし。因みに 「ほとんどない」の例外は真珠湾攻撃と9-11で、これらの意味合いについてはお馴染みの内容を散々語っていた)

?移民によって作られ、なお移民が流入し続けている。最初の移民が犯罪者や落伍者なので、ヨーロッパとは似て非なる文化から始まった。 それでも20世紀初頭までは、移民の異文化が溶け合った1つの「るつぼ」状の文化があったが、以降は多様化しすぎてモザイク状になり、 共通項とよべるのはアメリカ人であるというアイデンティティと愛国心。

日本で生まれ育ち、仕事でも海外モノから逃げ回っていた僕は、カルチャーショックとか歴史観の衝突を生身で体験したことがなく、 こういうものの見方はなかなか新鮮だ。同じ枠組みで日本の文化はどう説明できるだろうか、とか考えてみたくなる。

引き続いての午後の部は、チームに別れて3日間で学んだことを振り返り「fulbrighterであるとはどういうことか」 をまとめてプレゼンするというもの。最終日しか出てない僕にできる貢献はたかが知れてるので、質問を振りながら答えを紙に書く役に徹し、 早々にまとめて他チームを観察。皆、語る言葉は違っても、おおむねプログラムの趣旨に沿った形で収束したようだ。 オリエンテーションの効果てきめん、と感心してしまう。

 


 

座学のあとは最後の夜ということで、やっぱりイベントが企画されていた。中華、イタリアン、メキシカン、 等々のレストランに分かれての異文化体験ディナーである。チャイニーズレストランへ行った一同のうち、トルコ人、 スロベニア人の女性2人組は中華初体験で、注文を決めるのも大変。中国人がいないので、見た目が同じな日本人の僕に質問が飛ぶ。

「ヌードルって何?」 中国のパスタだよ。

「トーフって何?」 ええと、大豆で作ったチーズかな。

「ワンタンって何?」 えっ。うーんなんていうか、具を包んだパスタというか、ラザニアみたいな感じかな。

チャイニーズはイタリアンに似ている、というあらぬ誤解を与えなかったか心配する僕をよそに、目を輝かせて待つ面々。しかし・・・ 海外のチャイニーズは、日本の中華のセンスで選ぶと外す(ラーメンと思って頼んだら、酸っぱいうどんだったり)。しかも例によって、 女性一人では到底食べきれないアメリカンサイズ。1皿出てくる毎に、オーウとかワーオとか、なんともいえない声が漏れる。

「これ絶対無理。おねがい、ちょっと食べて」

「私豚肉だめ、、、これ何? エビ? ほんと?」

「えっ。トルコってイスラム教だっけ??」

エビチリに醤油をかけるわ、ごはんには塩をかけるわ、ツッコミどころも満載。カメラを向けられると箸を両手に構えてポーズ。それ、 片手でこうやって使うものなんだけど。「それ、右手じゃ難しそうなんだけど(この人は左利き)、食べるときは左手は不浄の手だし、 どうしよう」・・・もう、大騒ぎである。

食後は、おそらく同様に異文化交流してきたであろう他のチームと合流、飲みに踊りに、アメリカ文化の中心地の夜へと繰り出す。 首尾よく醸成されてゆく一体感。オリエンテーションの効果てきめん、とまた感心。

 


 

フルブライト交流プログラムはアメリカの冷戦戦略の一環だった、という見方を聞いたことがあるが、なかなかどうして、 優れた政策だと思った。日本やヨーロッパはともかく、高等教育の機会が限られる発展途上国からは、 それなりに国の将来を背負う人材が来ているのだろう。彼ら彼女らが留学を通じて親米派になるとは限らないまでも、 今日みたいな経験を重ねてアメリカを理解し、アメリカ人に共感できるようになれば、どれだけ外交が円滑になることか。日本だって、 かつての大臣、外交官、外資系社長にフルブライト出身者が何人いたか。また、日本からの奨学生は毎年20人程だが、中国、インド、 ブラジルからは今100人単位で来ていると聞いて驚いた。この意味するところは何だろう。

折りしも先日、日本で職場の若手と飲んだり麻雀しながら盛り上がった話題の1つに「日本の新しい文化の世界展開をいかに加速するか」 というのがあった。国が国に影響をおよぼすレバーが軍事、経済、文化の3つだとすると、日本は軍事を捨て、経済は弱まりつつある一方で、 文化はアニメ、マンガ、ゲームの新しい形で改めて世界に認められつつある。 ポケモン見て育った外国の子供が大人になったら、日本に戦争仕掛けないだろう、なんて主張もあるし。こんなスローガンまでメジャーデビューしたみたいだし。 でもアメリカのハリウッドなんかと見比べて、日本のコンテンツ産業は大丈夫か。例えばアニメ業界の平均年収が270万円って持続可能?  ゲームも開発資源の膨張からますます装置産業みたいになって淘汰選別が進むだろうし。フルブライトみたいな人物交流はともかく、 そんな足場の産業構造に問題意識を向けた政策プロジェクトもあり、 先行きが気になるところ。

海外に出てはじめて自国の文化を意識する、というのは本当だと思う。勉強しなおさなくては。よし、 ボストンに帰ったらプレイステーション2買おうかな・・・などと妙な決意を胸に、ニューヨークを後にするのだった。

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コメント


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どうもお久しぶりです & Welcome back to the east cost!
フルブライトオリエンテーション、面白そうですねー。
でも、中華が初めての方が2人もいらしたって、ちょっと意外。
中国人(およびChinese Restaurant)って、世界中どこに行ってもいる(ある)ってイメージが強かったので・・・。
KonpeさんがBostonにお戻りになるのを楽しみに待ってます♪

のせ | URL | 2005-08-06(Sat)17:07 [編集]


ちーす。今日ボストンに戻りました。
チャイニーズ初めてって、僕もびっくりして聞き返したんだけど、街にあるのは知りつつ行ったことは無かったんだって。
僕もトルコ料理を食べたこと無かったのでおあいこ(?)ということになったが、何か違う気がする・・・。

konpe | URL | 2005-08-06(Sat)17:49 [編集]


ボストンに戻ったんですね。ずっと前に御願いしかけた件、やはり御願いしたいのですが、詳細お伝えしたいので一度メールください。連絡先わかんなかったもんで・・・

Tsutsumi | URL | 2005-08-08(Mon)02:29 [編集]


おやこんな所で。了解です~。
新しいアドレスからメールお送りしときました。会社のアドレスも一応使えます。

konpe | URL | 2005-08-08(Mon)06:46 [編集]


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