konpe's 夜の仕事記

民間セクター開発、BoP、Clean Tech

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びっくりx3

冬休みは修論を書きつつ、海外をぷらぷらしていました(考えが煮詰まると国外逃亡したくなるのは今も昔も変わりません)。 気に入った写真があったので、もう1ヶ月近く経って今更ですが、載せときます。

garden

なんだか望郷の念がこみ上げて、泣きそうになった某村。さて、どこでしょう?

zou

ゾウ。乗り心地は、昔インドで乗ったラクダよりは楽だ。どこでしょう・・・

sign

坊さんは常にthose in need・・・もうわかりましたね。

はい、タイでした。MIT Sloanのタイ人一同がツアーを企画してくれて、見所を一挙に案内してくれるというので喜んで参加。 年末年始の1週間くらいツアーに同行し、そのあとはシンガポールに寄ってから、KSGのタイ人友人宅に居候。昼は探検、夜は執筆。

タイといえば、昔でべその話で書いたP (王様の孫娘)の地元。去年の夏に卒業したPは、「国にいると窮屈でたまらんのよねー」と駄々をこね、けっきょく帰らずにM社 (香港オフィス)の同僚になってしまった。月1回くらいは帰って来ているそうだが、今回はタイミングが合わず残念。聞けば、 タイ人'07スローン面子と同窓会をやると、護衛が20人くらいついてきたりお店の対応がえらく大層になったりして相変わらず窮屈らしい。 世の中、いろんな苦労があるんだなあ。

■タイでびっくりしたことその1:超先進病院

ツアーの一応の目的はタイのビジネス事情の探索で、いろんな会社を訪問。際立って興味深かったのが病院(Bumrungrad International)だった。 医療がうまくいってない国から患者を呼び寄せて、治療のついでに観光もしていってもらう、というメディカルツーリズム・ ・・アメリカで(保険に入ってなくて)1000万円かかると言われた大手術がタイに来れば渡航・宿泊込みで100万円でできたとか、 ヨーロッパで2ヶ月待ちだった治療がタイに電話したら「明日到着すれば明後日直します」と言われたとか、そういう奴です。 前々から興味はあったのだけど、実際見てみると、なかなか想像を絶しています。

病床数は554、従業員数3,000人超(医師は900人)、延べ床面積9.3万平米、2006年の売上は2.2億ドル、 治療患者数は120万人で、うち43万人が海外190ヶ国から来院・入院。ハコの規模としては聖路加とかと同じくらいでしょうか。 いろいろ条件が違うので単純比較しても仕方ないとは思うけど、こういうの見ると、 人員配置の手厚さも顧客(患者)単価も、日本の一流病院よりパフォーマンス高いのかも、というふうに見えます。 医療の質や設備の充実度合いは土地勘がないので全く判別がつきませんが、なんだかアメリカの認証を色々受けてるとかで、 きっと信頼に足るものなのでしょう。公開企業なのでIRデータがWebに出ていて、粗利は40%近く。

観光に来たついでに軽めの治療(歯とか、レーシックとか)を受ける人、自国でできない重めの治療(心臓とか)を受けに来て、 リハビリついでにリゾート観光する人、半々くらいかなー、ということらしく、観光客受け入れ態勢も万全。入院病棟、というか併設ホテル( 「ホスピテル」)はVIPスイートルーム完備で各国料理の病室メニューも豪勢。旅行代理店やエアラインのカウンター (病院とタイ航空とでマイレージ提携)、はてはビザ発行の政府窓口まで院内に。入院患者の国籍も、ボストンの学校近辺より多彩 (全身黒で覆って目だけ出してるアラブ女性、とか、学校ではあまり見ない類の人もいっぱい)。 メディカルツーリズムにはいろんな国が力を入れてるけど、タイは絶妙に良いポジション(さらに安いが快適体験に劣るインドと、 質は高いが物価も高いシンガポールの中間)とのこと。

CEOはアメリカで病院経営をやっていた人で、昼食の席が一緒になったので色々聞いてみる。 アメリカの病院だと6割超になる人件費がここでは3割くらい。それだけでこんなに価格差が出るものだろうか、と思うけれど、 オペレーションの完成度も違うということらしい。患者の7割は保険を一切つかわず自費負担。国の医療制度と完全に切り離された医療、 というものがとっさに想像できなくて、しばし混乱。だって治療歴とか検査データとかどうするの、と聞いたら、 あればもって来てもらえばいいけど、なくても検査一式数時間でできる、とあっさりしたお答え。日本語の案内もやたらあるので聞いてみたら、 現地在住の日本人がたくさん来るということでした。さすがに皆保険の日本から治療受けには来ないよなあ。

ううむ、どこまで進むのかグローバリゼーション。日本の医療費も雲行きが怪しいし、 医療従事者の皆さんの労働環境の持続可能性についても色々言われるし、 言葉の壁がもうすこし低くなったら長期的には患者さんが海外に流れたりしないんだろうか? いや、むしろシンガポールでもできるくらいなら、 観光資源がピカイチな日本にこそ、気合の入った病院経営で多言語対応をやれば中国あたりから患者を沢山よべるんじゃないか? ・・・ などなど、空想を刺激してくれる病院体験でした。どうなんでしょうね? >その筋の方々

■びっくりその2:ソーシャルファンドとしての王室

タイの王様の存在感はものすごい。街中に王様の顔写真が掲げられてるし、 王様が好きなカラーが黄色だというので毎週月曜は国民総出で黄色の服をきることになっているし、だれに聞いても 「王様を心から敬愛しています」って真顔で言う。今の王様は20歳くらいで王位について今80歳なので、 国民の大部分は王様と人生ともにしてるんですね。公式には、王様は政治的な権力は持っていないことになっている。が、 大事な局面になると必ず王様が介入してなんとかしてくれる、とみんな思っている。学生運動が過熱した時とか、 2006年の軍事クーデターの際にも、当事者トップが王宮に呼ばれて「やりすぎだから、そろそろお止めなさい」と一言いうと、 争いはぴたりと収まるのだとか。ひえー。

王様は国民のために普段からとても熱心に働いている、らしい。灌漑とか農産品加工とか、農業開発関係の「ロイヤルプロジェクト」 の話をあちこちで耳にする。干ばつの時には人口雨を降らせたんだとか。うむむ。そして、そのリソースはどこから出ているのか?  と聞いてまたびっくり。王室の資産を民間企業に投資して、運用益から出しているのだそうな。

タイ最大のコングロマリット企業のひとつ、SCG(Siam Cement Group、従業員数2万4千人)というところにも訪問。 この会社の筆頭株主は王室ファンドで、なんと30%も持っている。CFOが出てきてくれたので、コーポレートガバナンスへの影響は? と聞いてみる。長期保有、細かい口出しはせず、でも「こういうことはやってはいけない」みたいな原理原則はハッキリ示してくる、とのこと。 王室は国中の大企業に投資してるだろうから、通貨危機以降のパフォーマンスは悪くないはず。 ロイヤルプロジェクトの貧困削減インパクトが実際のところどうなのかは気になるけど、再分配してるよ、とか、 国民の大部分が従事する農業を大事にしているよ、というメッセージは少なくともクリア。企業にとってもこういう重石がかかっていると、 外国人投資家がどんなに伸びても、アメリカみたいに短期収益か非上場化か、みたいな圧力は生まれない。

タイ人は、自分たちは周りの国々と比べてとても幸せだ、と思っている節が強く、二言目には「王様のおかげ」と言う。 これほどの社会の安定感というか、決して豊かではないが住み良い感じというのは途上国にはそう見られない。仏教も相俟って、 精神的基盤として王様が(経済政策はともかく)広義の社会政策の重要な部分を担っているようにも思える。どう方針決定してるのか、 どんなアドバイザーが付いているのか、仕事は組織化されてるのか、突っ込んだ興味も沸くのだけど、いやいや王様の才能のたまものだよとか、 やっぱり政治的に適切なコメントしか得られないのでなかなか詳しくは分からない。今度Pにも聞いてみよう。

王様の伝記というのが英語では出ていて、 タイ人からみるとややcontroversialな内容らしい。そりゃ利害衝突の真ん中に立つ仕事をしていれば、 喜ばない人がいる局面もあろう。それを差し引いても、 60年間も東南アジアの優等生たるタイで明に暗に活躍して地位を保てている王様の仕事ぶりというのは興味深く、近々読んでみるつもり。 経済発展と、社会的文化的通念の維持あるいは変容、それらの背景と権威者の介入との相互作用、 みたいな話は今学期の探索テーマにもとても近いのです。こんどゆっくり書きます。

■その3:ひとりコングロマリット

さて、発見満載のツアーの後は、KSGを去年卒業してタイに戻った友人宅に居候。もともとシンガポールに用事があったものの、 訪問先の日程が直前まで流動的だったので、タイ滞在を1週間程延ばして待っていた。その間タイで手頃に泊まれるところがないか、と聞いたら 「うちに泊まってけば」というのでお言葉に甘えさせていただいた次第。

彼はミッドキャリアの1年制プログラムにいた人生の大先輩で、ハイフェッツ仲間でもある。 肩書きが多いので何をしていた人なのか実はよくわかっていなかった。Sloanのタイ人友達に改めて聞くと、 政治家だったけど2006年のクーデター後に軍事政権を嫌って、 経済産業大臣を辞してアメリカにほとぼりを冷ましに来ていたということらしく、戻ってきてからは主には学者業。教授をやりつつ、 シンクタンクを作って所長をやりつつ、ビジネスをいくつか持っていたりもする。

KSGにいたころがウソのように、ひたすら忙しそう。昼食をご一緒すると、今日はこのあと8件ミーティング、などと仰る。 政治絡みの仕事が多い模様。Diversionされてないか心配だけど大丈夫? Put the work at the centerしてる? みたいなハイフェッツ定番のバルコニータイムを経て、志の話。いわく、この国でやらねばならないことがあり、 そこに至るアプローチは5つくらいあり、時間配分や優先順位を一人では到底マネージできないので、それぞれに担当秘書を割り当て、 彼ら彼女らが分野毎の目的達成に向けて自分の時間を争って確保する仕組みにしている。 カレンダーはすぐアポで埋まって直前まで内容把握してないことも多いけど、何がどこまで進んでいるかは並行管理されている、はず・・・。 うむう、成る程そういう感じなのか。

いろいろ手を広げているつもりだったけど、自分なんてまだまだのんびり、インプットしてるに過ぎないな、と実感。 1年KSGにいて何を学んだと思う? と聞いてみたら、世界の多様性を知ったことが一番の収穫だという。これには完全同意。 彼みたいな経験豊かな人でも1年かける価値があったことを、3年もかけてこの歳でやらせてもらっていることに感謝しないといけない。

*  *  *

後半は修論の進みが遅くて終日こもって執筆し、行きたかったアユタヤにも行けず、バンコクも充分散策できず、 休んだ心地がしない旅行だったけど、ビックリついでに幾つか、今後暖め続けるべき火種みたいなものを得られた旅でした。 それのごく一部は修論にも飛び火したのだけど、大部分はあと半年で丹念に育てないといけません。最後の学期の最初の1週間は、 本当にあっという間でした。限られた残り時間を、悔いのないように過ごしたいものです。

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コメント


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むむむ面白いですねタイ。王の最先端をいってますね。日本も首相をやめて将軍制にしてはどうでしょう。難航してる修論の代打テーマとして使っていいですよ。

くろき | URL | 2008-02-05(Tue)08:28 [編集]


メディカルツーリズム…すごいインパクトですね.
詳しく知りたくなりました.

シゲ | URL | 2008-02-06(Wed)11:36 [編集]


>くろき殿
しょ、将軍制。あれって平和に長期に国を治めた軍事政権としてはたしかに珍しいのでしょうかね。しかも正統な仕事(征夷)とまったく関係なく政権維持してるし。研究のし甲斐がありそうです。ぼくの修論は難航しましたが無事におわったので、お譲りします! tangible将軍制の設計と実装と評価を期待。
>シゲ先生
こんなのありますよ。
http://homepage3.nifty.com/saio/med-tourism.pdf" rel="nofollow">http://homepage3.nifty.com/saio/med-tourism.pdf

konpe | URL | 2008-02-11(Mon)14:22 [編集]


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