konpe's 夜の仕事記

民間セクター開発、BoP、Clean Tech

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今更ながら:夏のインターン総括

開発系の活動はしばらく寝かせておくことになりそうなので、、、別用途で書いたものを一部修正の上転載して、 このカテゴリを締めくくっておきます。


■夏の仕事
勤務先のIFCというのは世銀グループの民間向け投融資部門で、途上国専門のPEファンド、商業銀行、 プロジェクトファイナンス機能とコンサルティング、投資誘致の政策アドバイザリー機能を兼ねたような機関です。途上国投資促進・経済発展・ 貧困削減をミッションとしながらも民間の金融出身者を多数抱え、新興市場ブームに乗って(見方によってはブームを自ら着火・加速して) 急拡大している一方、世銀本体は中所得国政府向け融資事業が低迷し、去年は赤字を出して業態の再定義を迫られており、 IFCと本体を比べるとあたかも昔のNTTドコモと持ち株会社なんかを見ている気分になります。そんなIFCの”Global Manufacturing and Services”というなんとも幅広な名前の部門で、繊維・ プラスチック業界向けの投資戦略作り直し、という仕事をしていました。

 

今回調べてみて改めて実感しましたが、繊維はいつの時代も工業化の要です。イギリスで産業革命の引き金をひき、 アメリカの起業家がマサチューセッツ州のLowellに持ち込み財を成してMIT創設の原資を生み、 日本では豊田織機が自動車産業の礎を築いたのはご承知の通りです。今日の繊維もまさにグローバリゼーションの縮図で、 2005年のWTO交渉結果(Multi-Fiber Arrangement) を踏まえて2008年までに関税障壁がようやく取り除かれることになり、コモディティ製品では中国・インドが驚異的な成長を続ける一方、 トルコやメキシコなど一部の先進市場近隣国以外の途上国では国際コスト競争に太刀打ちできなくなっています。結果、 これまで業界動向をよく見ずに仕事をしていたIFCの融資は軒並み焦げ付いて新規案件もなく、チームの存続が危ぶまれていました。

一方で、 ナノテクやエレクトロニクスを取り込んで強度を増し高度化するハイテク合成繊維素材は自動車部品など川下産業からみると金属材料代替による軽量化、 省エネ化、高機能化の切り札として期待され、カーボンファイバーなど一部素材は日本企業の独壇場です。 先進国が引き続き技術革新を担う一方で、インド・ 中国とコスト競争ができない途上国へは先進国からの直接投資に技術移転を乗せて高付加価値化を促し、コモディティ製品分野でも南南投資 (中所得国から低所得国への投資)を伸ばして最貧国での機会創出を促す-そんな青写真を議論していました。 日々の仕事は世界の潜在投資対象企業を2,000社ほど特定し、 調べては評価基準をつくって100社に絞り込むというある意味単調な作業でしたが、後半、 世界各国のIFC現地オフィスにリストを送ってテレコンし、案件開拓に動いてもらう段になると、 業績低迷部門の人達がだんだん目の輝きを取り戻すのが楽しく、 自分にとっての仕事の興奮ポイントはどこへいってもコンサルティング時代と同じだな、と感じる瞬間でした。

■留学これまで
留学準備を始めた頃、ハイテク業界の戦略立案にどっぷり浸かっていた私は、 じわじわ日本の製造業の首を絞める構造問題を諸々のクライアントを通じて実感し、継続的イノベーションによる打開策の糸口を見つけたい、と、 世界の技術革新の爆心地たるMITを選びました。 何か新技術開発がうまくいくような組織運営のコツとか戦略の枠組みが伝授してもらえるのでは、という期待は、 1年間で簡単に打ち砕かれました。 MBAの勉強もそこそこにメディアラボの産学連携プロジェクトや起業もどき体験に打ち込みながら目の当たりにしたのは、キャンパス全体、 あるいは街全体が驚くべき効率をもった市場として機能し、人と技術と資金と知恵の交換が最大限に加速され、 世界の頭脳や国の研究予算を吸い込み拡大再生産を続ける圧巻の仕組みでした。これはむしろ、多様性に寛容な社会のあり方、 新陳代謝と安心のバランスのとれた経済のあり方、人々の変化への適応能力を呼び覚ますリーダーシップのあり方、 等々もっと広い問題ではないか。自分は、そんな問題を考える思考の道具を何も持っていない、そんな考えから、 ハーバードのケネディスクールとのJoint Degree Programを始めました。

留学2年目のケネディスクールでは、予想通りの発見や興奮と、予想外の混乱や当惑が待っていました。 イラク新政府の諜報部から来たクラスメートは体にいくつも残る銃弾の痕を見せて 「自分の国にまったく将来展望が持てないという気持ちが判るか」と訊いてきます。 命を賭けるに値する仕事などという安易な言葉に南米の友人は「自分の父は革命を指導して暗殺された」と目を伏せ、 私は何ら意味のある言葉を返せません。友達だと思っていた韓国人は容赦なく慰安婦問題キャンペーンを張って日本を攻撃し、 私は意志に反して半ば自動的、非建設的に反駁するばかり。授業では政治経済やら世界情勢やらの知識を沢山詰め込みましたが、 それよりずっと価値があったのは、M社での5年で全体観・MECE感・ファクトベース・仮説思考・ 80-20が染み付いたとばかり思っていた自分が、実は非常に狭い視野に囚われ前提に縛られ、局所解に飛躍してばかり、という気付きです。 技術、理論、分析への興味と人、価値/信条、感情/行動への興味の比率が逆転し、机に向かう時間は減らない一方で人と楽しい・暑苦しい・ 辛気臭い話をしている時間は増えたので、睡眠時間は時にM社時代よりも減りました。

また、学生生活および今年の世銀/IFC、去年の国連でのインターンを通じて、世界観とか課題認識もだいぶ変わりました。 大学に入って地元の富山から上京したときに視野が地域から日本に広がった時と同様に、世界の問題がリアリティをもって眼前に広がった、 といえるかもしれません。世界の重大問題(貧困、紛争、テロ、エネルギー、気候変動、教育、医療、経済成長、等々)は皆、 複雑密接に相互に関連しているということ。 これらはM社でクライアントとしてつきあっていたような大手企業のパフォーマンスにも重大な影響を及ぼす一方、 企業側の行動が問題に与える影響も重大で、多くのリーダー達がそれに気づいてアクションを取り始めているということ。 諸問題に直接携わる周囲に感化され、 2つの夏休みはともに途上国への投資誘致とか産業競争力向上を通じた経済発展と貧困削減という仕事に携わって、留学前の目標だった 「日本の製造業のための技術革新」は「世界をよくするための知識創造」に変わりました。あと半年のMIT、 半年のケネディスクールが残っていますが、いったん途上国開発に振った対象を先進国及び多国籍企業に振り戻し、 学ぶ機会に加えて教える機会の追求も通じて、中長期的な仕事の仕方を改めて考えるつもりです。

(・・・続く)

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