konpe's 夜の仕事記

民間セクター開発、BoP、Clean Tech

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STeLA Leadership Forum 2007 in Tokyo

アナウンス、というかもう終わってしまったのですが、 表題の企画で先週いっぱいから今日まで代々木オリンピックセンターに缶詰になってました。

企画趣旨は、MIT、Harvard、東大、東工大、慶應あたりの理系大学院生を40人東京に集めて、 21世紀の科学技術を担うリーダー人材を育てようというもの。講義、討論形式のリーダーシップ研修素材と、企業のラボや工場見学、 チームで結構手の込んだ装置作成プロジェクトに加え、尾身財務大臣(元・科学技術政策担当大臣) をはじめ科学技術にかかわる著名人をゲストに招いた10日間のハードコア強化合宿企画。科学、工学系の学生に加えて、ビジネス、 政策等幅広なバックグラウンド、出身国は11ヶ国に渡る参加者・主催者を日米の大学から集め、 1年半かけて運営母体の組織作りからスポンサー集め、内容の練り込みを続けてきたスタッフの努力が結実。予想以上の手応えと反響が得られて、 なかなか感慨深い。

目的に掲げた「リーダー育成」は、なんとも大それたお題であることは確か。MITやハーバードでは、ビジネススクール、政策大学院、 教育大学院、神学学校、公衆衛生大学院など分野を問わずリーダーシップを教育目的に掲げ、教材拡充や教授法の研究、 教育環境づくりに余念がないが、理学部や工学部で学校がこれを前面に出している例はまだ少ない。でも、あらゆる地球規模の政策課題 (気候変動、保健衛生、安全保障、技術革新による経済発展と貧困削減、云々)や企業、その他の組織にとっての課題をみても、 エンジニアや科学者が政策決定者や事業側の人間との深い協業を通じてリーダーシップの発揮を求められる場は増えるばかり、 というのが当初の着眼点。

コンサルティングの仕事を通じても、国連や世銀のインターンの現場でも、 実際に変化が起きるためには最後は相手個人個人の当事者意識、志、能力を解くべき課題に見合った高いレベルに引き上げられるかどうかがカギ、 と痛感していた。チェンジリーダー、あるいは広い意味でのアントレプレナーを持続的に生み出す場作り、 をということを長期的に試してみたいと漠然と思っていた。そんな動機で2005年から賛同者を集め、 どうせやるなら巷に溢れる学生団体の単なる国際交流企画とは一線を画す、しっかりしたリーダーシップ育成研修を作ろうじゃないかと、 素人集団の手作り作業ながら、それなりに時間と労力を割いてきた。MITの後押しをうけて、 学校のオフィシャルなプログラムという体裁が整ったのが昨年の秋頃だっただろうか。理系学生が自身の専門の枠を超え、気候変動・ エネルギー問題やグローバリゼーションに伴う貧困格差など地球規模の問題を考えながら、 そうした問題の解決に向けたリーダーシップを今後の人生を通じて養うきっかけをつかんでもらう、という大まかな構成もその頃に固まっていた。

一方、別途関わり続けているMITメディアラボのセンサープロジェクトでも、 ウェアラブルセンサを使った単なる職場のコミュニケーション状況と業務の生産性との関連を研究する段階から、 組織のパフォーマンスにとって長期的により重要な、人の学びや成長、 異質なものの衝突を通じた新しいアイデアの創出といった現象へと研究対象を広げたいと思っていた。実証研究にあたり、 実際の職場でそうした現象をピンポイントに、しかもコントロール可能な複数グループを充分なサンプル数で確保することは難しいが、 良質のリーダーシップ集中研修がもし実現できれば格好の実験対象になる。また、受動的・事後的な解析に加え、 センサーを能動的に教材として使ってみるという副次的な研究目的もありえた (リーダーシップ教育に不可欠な要素とされている組織ダイナミクスへの理解やチームにおける自身の振る舞いについての振り返りの材料として、 自身の記憶やメンターによる第三者的観察に加えてセンサーデータも用いることで、学びの効率や効果が変わるかもしれない)。そんなわけで、 センサープロジェクトのスポンサー企業にはSTeLAの大手スポンサーになってもらい、プログラム実施に必要な資金援助を得て、 参加者も主催者側も本番中ずっとウェアラブルセンサを身に着けて望むという一見奇妙な構想が実現した。 理系の参加者たちにとってはそれ自体がきっと興味深いはずだ。

プログラムの設計思想や個別の素材について、強い影響を受けた人が数人いる。

・MITスローンのピーター・センゲ教授:学習する組織の発案者
・MITスローンのデボラ・アンコナ教授:MIT Leadership Centerのディレクター
・ハーバード・ケネディスクールのロナルド・ハイフェッツ教授:Harvard Center for Public Leadershipのディレクター。全学で最も人気の高いリーダーシップの授業を担当、元精神分析医でプロのチェロ奏者でもある
・ハーバード教育大学院のロバート・キーガン教授(大人の発達心理学)

彼らからは授業を通じて学び、時間外でもさんざん助言をもらってきた。ぬるい環境で人は育たないので、 心を鬼にして多少厳しめの日程を組む。また、内容の性質上、教材・ コンテンツというよりはそれをDeliverする主催者側個々人の素養が教育効果のクオリティを決める。 プログラム期間中を通じて参加者には各々の経験や視座を最大限持ち込んでもらった上で、チャレンジングな実践課題を通じて各自がedge of competencyに追い込まれ、真摯な対話と内省がシステマチックに繰り返され、一方で、追い詰めすぎないように、 あるいは個々人が成長のきっかけを掴む確度が高まるように、少人数のチーム単位で最初から最後まで参加者の面倒を見るメンターが適宜、 適切なメンタルサポートを提供する。そんなメンターが育つように、設計のかなり早い段階から、 日米双方で組織化した主催者団体の中での学びの喚起と定着をはかってきた。メンター役の10人強だけでなく、あらゆる事務的、渉外的、 会計的な仕事も含めると主催者側だけで日米を跨ぐ30-40人規模の大所帯になったが、 各自のコミットメントに応じて驚くべき成長を見せる人もおり、途中からは、 参加者にとっての学びと同等以上に主催者メンバーの成長がこの企画の大きな成果になるだろう、と思えるようになってきた。自分個人としても、 かけがえのない学びをいくつも得ることができた。

嵐のように過ぎ去った本番10日間はちょっとした極限状態で、参加者は毎日3-4時間(夜に元気に飲みに出ていた連中はもっと少なめ) しか寝ていなかったように思う。運営者には更に厳しい工程だった。 専攻分野も文化的背景も違う参加者達が単に互いにナイスに接して摩擦や衝突を避けていては決してこなせない、 それでいて講義や演習での学びを実践に持ち込みながらチームの運営の仕方を毎日振り返って問題解決を重ねれば事態が前進するような、 程良い難易度のプログラムになっていた。運営者側は、プログラム運営に関する、 あるいは参加者の精神状態に関するあらゆる突発事項に臨機応変に対応できる強力な分散型組織に育っていた。運営者側からは 「これまでに関わったどんな学生団体とも明らかに動き方が違う」という声が、参加者側からは「これまでに参加した(一見すると) 類似のどんなプログラムとも明らかにクオリティが違う」という声が聞かれた。10日間を通じて、 ここには書ききれないような濃い出来事が沢山あった。自分がメンターとして面倒を見た参加者5人中、3人が期間中に泣いていた。それぞれ、 決意の涙、悔しさの涙、感謝の涙だった。

初日は担当チームの雰囲気作りや議論のファシリテーションを主導したメンター達がプログラム終了時までに達成しようとしたことは 「自分の役割を消滅させること」、つまり自分達が1年半かけて学んできたことを10日間で参加者チームに伝え、 自分がいなくても状況が求めるリーダーシップをチームメンバーの誰かが発揮し、 自律的にチームのパフォーマンスを上げられるようにすることだった。 最終日のセッションでは参加者に何の具体的指示も議論の枠組みも与えずに、主催者側スタッフ全員が会場から消えることになっていた。 暫くしてスタッフが会場に戻ると、 参加者の中には来年度の第2回STeLAリーダーシップフォーラム開催に向けてリーダーシップを発揮したいというコアグループができており、 全員が主要な検討課題ごとのサブグループに別れ、各グループから今年の運営者に対して次のステップについての提言がなされた。同じ時間内に、 最終日夜の打ち上げ、また参加者が運営者を労うサプライズの企画も出来上がっていた。予想以上の出来だった。 あとで振り返ってみればこの人にとって、このプログラムは人生の非連続点になっているだろう、と思える人が何人もいる。 参加者も主催者もちらほら泣いていた。いざ解散となるとじつに別れ難かった。

自分にとっては、(必ずしもセンサープロジェクトに関わることだけでなく)この企画への関与全体が大きな実験だったように思う。 企画実現の過程でこれまでとは違ったアプローチを色々試して結果から学ぶ、という側面に加えて、 テクニカルな問題解決よりも人の学びや成長に関わる今回のような活動が自分にとって本当に楽しくてやりがいのあることか、 という問いに答えたかった。結果は明白にイエスだった。次の問いは、得られた学びを何にどうつなげるか、なのだが、 これはなかなかむずかしい。

<参考>

STeLAウェブサイト
4/16 毎日新聞 (記事概要
8/14 日経新聞朝刊 34面 (記事概要
8/26 6pm NHKニュース

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コメント


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GSASのみっち・つっち~両名が参加してる事は知ってたんですが、金平さんも参加してるとはさすが神出鬼没ですね(笑)。

まっぴ~ | URL | 2007-08-28(Tue)11:40 [編集]


STeLA Leadership Forum 2007 in Tokyo

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| URL | 2007-09-04(Tue)13:29 [編集]


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[雑記] STeLA Leadership Forum 2007 in Tokyo

多分すっごく長くなりそうだけど、とりあえず書いてみる 前の日記で、日本に帰ってたって書いたけど、もうアメリカ戻ってきました。結局2週間日本にいて、そのう...

諸諸 moron 2007-09-07 (Fri) 23:23


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